苫小牧高専/理系総合学科/応用数学

確率・統計

講義の目標
確率・統計の基礎概念を理解すること。基礎的な確率計算ができ、確率分布を活用できること。データの整理や、標本に基づいた母数の推定と仮説検定を行えること。

講義で前提とする数学
順列・組合せ、数列、微積分(部分積分公式,置換積分,マクローリン展開、偏微分、重積分)

講義でのポイント
1. 確率

  • 事象と「場合の数」の計算
  • 算術的確率、幾何学的(測度論的)確率の計算
  • 確率の公理と基礎定理(余事象定理、加法定理、乗法定理)
  • 独立試行の確率公式
  • ベイズの定理

はじめにいくつかの古典的な確率、特に組合せ論に基づく「算術的確率」の計算を通して確率の概念に慣れましょう。

これらの古典的な確率の定義のエッセンスをまとめたものがロシアの大数学者コルモゴロフによる「確率の公理」です。この公理から余事象定理、加法定理、乗法定理といった「基礎定理」を導けるようにしよう。また定理を利用して複雑な事象の確率を簡単化して計算する方法をマスターしよう。

「基礎定理」を組み合わせることで「独立試行の確率公式」と「ベイズの定理」が得られます。サイコロ振りのような独立試行を繰り返すときの確率に関する「独立試行の確率公式」は次の「二項分布」でも利用されます。一方、主に独立でない試行に適用される「ベイズの定理」は統計的推定論の発端となり非主流の統計学「ベイズ統計学」の出発点となった定理です。ある結果のもとになった原因の分析に活用しよう。

2. 確率分布

  • 離散分布の確率・期待値・分散の性質と計算
  • 二項分布、ポアソン分布
  • 連続分布の確率分布関数・確率・期待値・分散の性質と計算
  • 正規分布
  • 2次元確率分布(特に連続型確率分布)
  • 中心極限定理とその関連事項

一般の確率分布(離散分布、連続分布)について、確率、期待値 E(X) 、分散 V(X)の定義と性質を理解し、その計算が出来るようにしよう。また、正規分布、二項分布、ポアソン分布がどんな現象にあらわれるのかを知り、確率計算ができるようにしよう。特に正規分布は推測統計の基礎となる最も大事な確率分布です。離散分布の代表選手である二項分布とポアソン分布についてはその相違点に注意しよう。

2次元確率分布はそれ自体利用されることがあるが、それを多次元分布に拡張することで統計平均の確率分布が明らかになります。統計平均が正規分布 N(μ, σ^2/n ) に従うという定理(中心極限定理の周辺)は、確率論から統計学への橋渡しとして特に重要です。定理を利用して統計平均に関する確率の計算ができるようにしよう。

3. 記述統計

  • 1次元の多数データの整理: 平均値、分散、標準偏差の計算
  • 2次元の多数データの整理: 共分散、相関係数、回帰直線の計算

1次元データの記述統計は簡単であり、重点は2次元データです。統計量である平均値、分散、共分散、相関係数、回帰直線の計算ができること。また、「Yの回帰直線の式」を導出できるようにしよう。

3. 推測統計

  • 標本分布: 正規分布、t分布、カイ二乗分布 
  • 確率分布表(正規分布表、t分布表、カイ二乗分布表)の利用方法
  • 母数の区間推定(母平均、母比率)
  • 仮説検定(母平均、母比率、独立性、適合度)

主に正規母集団 N(μ, σ^2 ) からの標本について、標本の平均、分散、比率などがそれぞれどのような確率分布(標本分布)に従うかを理解することが第一。標本分布の代表的なものは、正規分布、t分布、カイ二乗分布、F分布などである。密度関数の式を覚える必要はないが、グラフの特徴をつかみ、数表を使いこなすことが大事。

標本分布を利用すれば、母数である母平均μ、母分散σ^2、母比率pなどに関する区間推定や仮説検定の方法が自然に導かれる(点推定よりも区間推定が大事です)。

区間推定の式がどのように導かれるのか理解しておこう。あとは、推定・検定の計算に慣れることです。高専生の多くが就職後にお世話になる「品質管理」の基本は推測統計です。しっかり理解しよう。

推薦図書
1. 易しい参考書

  • 高校の参考書・問題集
    場合の数と確率は高校が詳しく、確率分布と統計は高専がかなり詳しい。

2. 面白い啓蒙書

  • 新村「パソコン楽々統計学」(講談社 ブルーバックスシリーズ)
    添付のCD-ROM版統計ソフトStatisticaを利用して楽しく学べます。
  • 蓑谷「統計学のはなし」(東京図書)
    楽しい話題や統計学の歴史が豊富に散りばめられています 。
  • 郡山「入門ビジュアルサイエンス 確率・統計のしくみ」(日本実業出版社)

2. 少し高度な本

  • 和達ほか「キーポイント確率・統計」(岩波書店)
  • 薩摩「理工系の数学入門コース 確率・統計」(岩波書店)
  • 東大統計学教室「統計学入門」(東大出版会)
  • マゼル「確率・統計・ランダム過程」(森北)
    確率の基礎から確率過程までの演習書。工学の幅広い分野で役立ちます。
  • 伊藤ほか「土木・建築のための確率・統計の基礎」(丸善)
    その名の通り、土木・建築の分野での応用例が豊富に盛り込まれています。

サイトマップ

苫小牧高専/理系総合学科/応用数学