
研究概要

有機材料研究室で行ってきた研究
有機材料研究室では,精密有機合成化学の手法を高分子合成に応用して精密高分子化学に関する研究並びにその研究から得た知見を元に生化学分野の基礎研究を展開しています。
@これまでにこの精密高分子合成の手法を高分子イオノフォアの合成に適用し,立体化学を完全に制御した高分子イオノフォアを合成しました。このイオノフォアは超分子化学の分野に新しいホスト分子を提供するとともにその工学的応用例についても研究してきました。
Aこの研究からレクチンタンパク質による糖鎖の認識について,そのモデル化を検討し,アミノ酸の組み合わせと単糖並びに金属イオンによる組織体の形成をNMRのNOESYスペクトルから発見しました。目下,この研究はアミノ酸コンビネーション,単糖,金属イオン間で見出しただけでなく,核酸の構成成分である塩基,リン酸,単糖間でも見出し,研究を展開しています。生命の進化の初期段階に見られる化学進化(Chemical Evolution)の分野で重大な点を指摘できると考えています。
Bフェノール樹脂は物性が優れた樹脂で実用化されてから長い歴史を持った樹脂です。その合成における高分子化の機構は存在する化学種が多く大変複雑なものです。当研究室では地元企業との共同研究を通して得たフェノール樹脂合成反応初期段階の各化学種の生成過程の知見から,さらに高性能・高機能化を目指した樹脂の開発を行っております。
C電子レンジでの加熱にも使われるマイクロ波の化学プロセスへの応用が近年注目されています.フェノール樹脂の合成時に加熱媒体としてマイクロ波加熱を利用すると,従来法の加熱で得られる樹脂と異なる物性を示すなどの結果が得られています.他のポリマーの合成におけるマイクロ波加熱利用についても目下,検討を行っています.
D天然に存在する天然高分子であるDNAやタンパク質,多糖はは高度に制御された高次構造を有しています.特にラセン構造を有する高分子は,その特徴的な分子構造とそれに伴う得意な物性から注目を集めています.既に国内外においてラセン高分子の人工的構築が盛んに研究されていますが,最近,本研究室では糖ジオールを用いた人工ラセン高分子の構築について研究しています.
指導教員の主な研究テーマ
環化重合を用いた新規高分子機能材料の設計と合成
概要:環化重合は環の形成とポリマー主鎖の形成とを同時に制御できる優れた重合方法の一つである。この重合法を利用して,特に分子機能を有する機能性高分子材料の開発を行っている。
アミノ酸と単糖間における自己組織化の可能性に関する研究
概要:アミノ酸と単糖間における自己組織化,分子認識,D,L-キラリティーの起源,前生物期における化学進化をテーマにNMRの解析からこれらの問題にアプローチしている。
木質系接着剤としてのレゾール樹脂の改質並びにその硬化反応機構の解明
概要:パーティクルボードに代表される木質系接着剤,レゾール樹脂の合成条件と組成との関係,硬化反応における反応条件と硬化過程の解明を目指した研究を展開している。
新規抗血栓性材料の開発
概要:ポリウレタンウレアからなる高分子材料の合成時に抗血栓性発現のための適当な分子設計を施し,例えば,人工血管に用いられる医療用高分子材料の開発を展開した。
最近の研究テーマ
新規高分子イオノフォアの分子設計と合成に関する研究
糖ジオールを用いたラセン高分子の分子設計に関する研究
らせん高分子ホストの違いによるオリゴフェニレンビニレン誘導体ゲストの蛍光強度への影響に関する研究
マイクロ波加熱を用いた高分子合成
マイクロ波加熱を用いたバイオ燃料の合成への試み
NMRスペクトル法を用いた生体関連化合物の自己組織化に関する研究