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二橋創平准教授が参加する合同チームの研究成果が、Nature系科学誌「Scientific Reports」に掲載されました

2017年08月30日(水)

本校創造工学科 二橋創平准教授が参加する国立極地研究所・北海道大学・苫小牧高専・アラスカ大学の合同チームの研究成果が、Nature系科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。

北極海の夏の海氷が激減したメカニズムを解明-黒い開水面が吸収する日射の効果-

 北極海の夏の海氷面積はこの40年で半減し、北極海は一年中海氷に覆われる多年氷域から、夏には海氷がなくなる季節海氷域へとシフトしつつあります。この海氷の激減については、いくつかの要因が指摘されていますが、本研究では、海氷-海洋アルベドフィードバックが重要な要因であることを、衛星観測による海氷データ等の解析から明らかにしました。海氷-海洋アルベドフィードバックとは、日射に対する反射率(アルベド)が黒い開水面(*1)では白い海氷表面より小さいため、海氷域で水開き(開水面)が一旦広がると、開水面から吸収された日射による熱により海氷が融解され、さらに開水面を広げ海氷融解を加速するというものです。融解初期に海氷の発散量(海氷が拡がる方向に動く割合)が大きいと、このフィードバックが有効に働き、融解が進みます。2000年代以降、多年氷などの厚く動きにくい海氷が減ることで発散量が増加し、フィードバックが働きやすくなったことが海氷激減の一因と考えられます。

 この研究から、春(融解初期の5-6月)の海氷発散量がわかると、その年の海氷がどこまで後退するか予測できる可能性が示されました(9月に海氷が最も後退します)。海氷後退の予測は、北極海航路(*2)や北極海の資源開発にとって極めて重要な情報です。さらに、北極海の海氷減少は地球全体の大気や水の循環に大きな影響を与えるという研究もあり、北極海の海氷減少のメカニズムの解明は全地球の気候変動の理解や予測にも重要です。今後はより精緻な海氷-海洋結合モデルや気候モデルと組み合わせて解析することで、フィードバック効果の理解を深め、季節海氷予報の実用化やフィードバック効果の全地球の気候への影響評価へと発展していくことが期待されます。

*1: 開水面 … 周囲が氷で覆われている中で、局所的に水面が見えている部分のこと。

*2: 北極海航路 … 北極海を通って大西洋側と太平洋側を結ぶ航路のこと。20世紀までは航路として開通したことはなかったが、2000年代に入り北極海の夏の海氷の範囲が縮小し、夏季の短い期間だけ航路として開通するようになった。北極海航路を用いると、ヨーロッパ・東アジア間の海上輸送距離が従来のスエズ運河航路に比べ大幅に短縮され、海賊などのリスクもなくなる。

発表論文
雑誌名:Scientific Reports
論文タイトル: Evidence for ice-ocean albedo feedback in the Arctic Ocean shifting to a seasonal ice zone(季節海氷化する北極海における海氷-海洋アルベドフィードバック効果の実証)
著者:
柏瀬陽彦(国立極地研究所)
大島慶一郎(北海道大学)
二橋創平(苫小牧工業高等専門学校)
Hajo Eicken(アラスカ大学国際北極研究センター)
URL:https://www.nature.com/articles/s41598-017-08467-z
公表日:英国時間 2017年8月15日(火)(オンライン公開)

国立極地研究所のプレスリリース
http://www.nipr.ac.jp/info/notice/20170829.html
北海道大学のプレスリリース
http://www.hokudai.ac.jp/news/20170829_tei.pdf
も御覧ください。