環境教育

環境教育 -自然と産業の共生を考える-

平成19年7月に、”環境サミット”と呼ばれる北海道洞爺湖サミットが開催されるなど、現在、環境問題は地球規模で大きく取り上げられており、教育の場においても環境教育の重要性が益々高まってきています。

平成18年度に現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)へ松江高専を主幹校に東京高専、広島商船高専と共同で申請して採択された、「高専間連携を活用した体験型環境教育の推進-持続可能な環境社会を担うエンジニア育成のための体験型教育プロジェクト-(以下、環境GP)」についての活動状況を紹介します。

この取組は、学生の環境に対する意識を向上させると共に実践的知識を付与し,社会の持続的発展に向けての創造的発想を育む高度な環境教育の実施を目的とするものです。

採択後,本校では環境問題を身近な問題として捉え,環境に対する意識の向上を図るため,学生寮の各階に電力計を設置しました。電力計のデータは寮生会が集計・分析を行っています。寮生会では自作のごみ分別ポスター作成や牛乳パック,リングプルの回収も実施しており、学生会でも古紙回収や周辺清掃に取組んでいます。こうした活動を通じて,学生の省エネルギー,リサイクル等に対する意識は着実に向上していると感じています。

学生会・寮生会活動,環境関連研究の他に環境対応に積極的な企業見学や自分たちの排出するゴミの現状について苫小牧市や企業から講師を招き,講演会を実施してきました。いずれの取組も学生のみならず教職員が環境問題に取組むためのよい機会であったと思います。

また,学生の環境に関する体験教育の場として,ウトナイ湖に着目した取組を実施し、ラムサール条約登録湿地であるウトナイ湖周辺の自然と道内有数の産業集積地である苫小牧市,自分たちの住む地元を題材とすることで,これからの技術者に必要な産業と自然の相互関係を学ぶ機会としたいと考えています。

日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)での開催地学生会議への参加

平成19年7月の北海道洞爺湖「環境」サミットに続き、平成22年5月には日中韓三カ国環境大臣会合が北海道千歳・苫小牧の両市で開催されました。その会合開催に伴い、開催地である北海道からは北海道大学、千歳市からは千歳科学技術大学、苫小牧市からは国立苫小牧工業高等専門学校が選出され、各校の学生が一同に介して合宿を行い、環境保全・生物多様性について熱い議論が展開されました。

三カ国が構成されるよう、日本人学生だけではなく、中国と韓国の留学生にも参加してもらうことで、それぞれの国の立場から、意見が交わされました。

参加した学生達は、いずれも初対面ながら1泊2日の合宿討論において、環境保全・生物多様性についての共通認識を深めるとともに、今後の環境問題への取組みとしてどのように解決すべきかを議論したところ、結論としては「環境教育を通して解決するべき」であることが決議され、「子供向け環境教材の開発」、「大人(中年層・高齢者)の環境意識向上の必要性」、そしてその解決法としての「インターネット利用・e-learningによる啓蒙」などがポスター形式で発表されました。

発表の際には、3大臣が会場に来られ、学生達の生の声を直接大臣達にぶつけ、学生の総意を聞いて頂くことができました。

これまでの活動で行ってきたウェブ会議、メールディスカッションは今後も引き続き行われるものと考えております。学生達の今後の活躍にもご期待下さい。

FM NORTH WAVE “MUSIC ON THE EARTH RADIO” での苫高専環境教育の紹介

11月21日(土)に、FM NORTH WAVEにおいて、環境産業体験プログラムに関する生電話インタビューが行われました。

番組名 FMノースウェーブ
MUSIC ON THE EARTH RADIO (毎週土曜 17:00-17:10)
※土曜11:00-19:00放送の番組内の「ステーションドライブサタデー」で展開するコーナーです。
※DJはヒロ(HTB イチオシ!の出演者)です。
内 容 「地球があるから音楽がある」をメインテーマに、国内外で行われている環境に関する取組みの紹介を行う。
インタビュー内容
DJヒロ

ここからの時間は、“地球があるから音楽がある” をメインテーマに、この星の未来を豊かなものにするために、現在、国内・外で行われている取り組みを御紹介します。

皆さん、苫小牧と聞いて連想することってなんでしょう?

苫小牧市は室蘭市とともに、北海道を代表する工業地帯でありながら、野鳥を主とした野生生物が安心して生息できる場所」として確保された土地を指している『日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ』や特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約、「ラムサール条約」の登録湿地に指定された、ウトナイ湖をはじめとする湿地帯が東側にあるなど、自然豊かな場所でもあります。

今日は、そんな苫小牧市にある苫小牧高専(独立行政法人 国立高等専門学校機構 苫小牧工業高等専門学校)では『自然と産業との共生』をテーマにした取り組みが行われているそうで、来年には『自然と産業』という科目も出来るそうです。いったいどういったものなのでしょうか?

今日はその授業を担当している国立苫小牧工業高等専門学校 環境都市工学科 教授 澤田 知之 さん と電話がつながっています。

この星の未来を信じる一人、澤田さーん

澤田副校長

はーい。

Q1: 「自然と産業」とはどういう科目なのでしょうか?

本校は、平成18年度に文部科学省による「持続可能な社会につながる環境教育の推進」をテーマとした教育研究競争資金(現代的教育ニーズ取組支援プログラム(略称 現代GP))に対し、「高専間連携を活用した体験型環境教育の推進 -持続可能な環境社会を担うエンジニア育成のための体験型教育プロジェクト」として、本校の他、松江高専、東京高専、広島商船高専の4高専合同で申請し採択された全国規模の活動取組が基盤となっています。全体の内容としては、環境技術に関する体験型講座を開講し、環境問題の重要性を常に意識できるエンジニア育成を行うことを目的に、ウトナイ湖サンクチュアリ職員の方々の多大なご協力のもと、3ヵ年のプロジェクトが終了した後も、継続的な取組として以後も実施しているものです。

今回お問合せ頂いた選択科目は、「学外実習(環境産業体験プログラム -自然と産業の共生を考える-」として開講されているものであり、技術者養成機関の本校においては、今後は環境教育の基盤となる科目として考えております。

Q2: 具体的な授業内容を教えて下さい。

本校教員2名の他、上述のウトナイ湖サンクチュアリ・ネイチャーセンター所属職員1名を外部協力講師として、実習としては3日間に分けてシリーズ化した授業を行っております。

第1日目はウトナイ湖でのウォークラリーを通した自然体験とし、ウトナイ湖湖岸や周辺の自然地帯を散策しながら、外部講師が用意したクイズ形式による数箇所に設置されたウトナイ湖や周辺領域に関する各設問に取組むといったものです。第2日目は勇払原野での野外セミナーとして、技術者教育の観点から、ウトナイ周辺における自然の置かれている現状と、工場地帯周辺における環境への影響実態を直接的に体験することによって、ものづくり(製品製造等の生産活動)の際の環境配慮への意識を持たせることを主旨としたものです。第3日目はネイチャーセンターでのワークショップとして、それまで2回の実習を通して認識してきた苫小牧東部工業開発地域(苫東)が、まだ豊かな自然が残っているウトナイ湖や周辺の勇払原野に隣接している現状を踏まえ、勇払原野の自然環境保護と苫東の産業発展の共生をどのように考えるか、将来の技術者として今後の生産活動のあり方について構想を検討することを目的としたものです。

Q3: 受講している生徒の反応はいかがですか?

受講前と受講後にアンケートをとりました(昨年度分)が、そのデータによると、9割を超える学生が「環境に配慮した行動をとるべき」と受講前と受講後双方において考えつつも、「環境に配慮した行動をとっているか」との問いに対しては、当初41.4%だった数値が、受講後には64.0%となるほどまでに伸びたことが顕著な表れの一つとして挙げられます。一方、「環境保全と産業開発の両立は可能か」という問いに対しては、数値上では59.3%から64.0%へのわずかながらの伸びは見られたものの、自由記述では慎重な意見が多く、「双方を両立させなければ双方とも低迷する」という回答もあれば、「生活の向上を求めれば産業開発は進み、環境保全を考えれば自然保護は進む。どちらかを尊重すれば片方の犠牲はやむを得ない」という回答もあり、学生にとっては実習を通して、それぞれがかなりの難題を真剣になって考えていたことが明らかとなりました。他方、「自然保護団体と経済産業界のコミュニケーション不足という現状」を指摘する意見も目立ち、互いが紙面や報道での言い争いに終始するのではなく、今以上に対話の場を作って検討することも必要である旨の意見もありました。

Q4: 実際に講義を受けた生徒に期待していることはありますか?

はい。大いにあります。

本校が立地する苫小牧市は、ラムサール条約によってウトナイ湖を中心とした自然保護区域を有する街である一方で、世界的にも珍しい大型の内陸式掘込港と、北海道の空の玄関口である新千歳空港を有した北海道における交通の要衝であると同時に、また自然保護区域から数kmと離れていない近隣には苫小牧東部開発地域(苫東)と呼ばれる工業地帯が立ち並んでおり、日本屈指の工業都市です。そのような工業都市に居住しながら学習する本校学生が、地元である苫小牧地域への関心を高め、北海道を代表する大自然の豊かさとその恩恵について学習する一方で、工場地帯への視察見学を通した環境問題の現状と産業の発展の関係を学び、技術者として必要な知識や素養を身に付けてもらうことは、非常に意義深くかつこれからの技術者には大切なことであると考えております。

この学外実習プログラムを展開できるのも、本校が苫小牧という世界的にも非常に珍しい、ラムサール条約による環境保護区(ウトナイ湖を含む周辺の自然区域)と、北海道の産業発展を支える苫東工業地帯を有する街に立地している地理的条件を最大限に有効活用することで可能となったものです。

Q5:苫小牧高専では、今日、紹介させて頂いた講義の他に新たな技術やジャンルを取り入れた授業はありますか? また、学校として目指しているところは?

環境教育においては、本取組以外にも定期的には第2学年の総合研修旅行や、全学対象の構内における講演会実施、洞爺湖環境サミットの翌年には第1学年のオリエンテーション(洞爺宿泊)時における洞爺湖温泉排熱のヒートポンプ事業の講演など、不定期ながら継続的にこれまでも様々な取組を実施してきております。

また、環境教育以外には、EITと(※EITとはEastern Institute of Technologyの略称であり、本校が海外学術交流協定を締結しているニュージーランドのネイピア市にある大学(ポリテク)を指しています。)テレビ会議システムを利用した国際遠隔授業を行い、「異文化コミュニケーション」という授業名で、実践的な英語教育や異文化理解について、専攻科の必修科目として展開していることが特長です。苫小牧市とネイピア市は姉妹都市関係にあり、本校においてもその縁から協定を結ぶに至りました。

※平成19年度には、文部科学省による「高等教育機関の国際化」をテーマとした教育研究競争資金(大学教育の国際化推進プログラム)に対し、「実践的テーマによる国際産学連携CEの推進 -海外で仕事ができる技術者に!-」として、本校単独で申請し採択された教育国際化事業です。(CEとはCollaborative Educationのことで共同教育・協調学習を指す用語です。)

本校の目指しているところとして、今後は科学技術産業はますます多国籍化し、かつ環境保全を意識したエコ活動にも取組んでいくこととなる情勢から、これからの技術者に求められる能力として、本校では生産機械・電気電子・情報通信・物質化学・環境都市の各工学分野の技術・技能の習得だけでなく、地球規模での環境保全意識の働きかけとしての環境教育事業、多国籍化した企業で勤務することによる技術開発や技術支援の際に必要となるコミュニケーション手段としての国際化教育に注力することになろうかと考えております。

昨今における、鳩山首相の国連の場における各国から称賛された環境対策の意気込み、オバマ米国大統領の演説にも表れるアジア戦略・国際協調の流れもあり、技術者教育機関である苫小牧高専においても、上記2つの環境と国際化の教育事業はさらに充実させていかなければならないと考えております。

Q6:苫小牧高専では小中学生や一般市民を対象にした公開講座も行っているそうですね?

はい、行っております。小学生対象の理科教室や英語教室の他、本校に設置されている5学科の特長を活かした「化学実験講座」、「電気電子工作教室」、また一般向けには「基本情報処理技術者試験の対策講座」なども開講しています。

最近では、公開講座の他、市内小・中学校向けに出前講座も行っておりますし、11/15(日)には苫小牧イオンショッピングセンター内において「科学のとびら」と題した親子揃っての体験型実験教室を開催致しました。

また、12/13(日)には国立日高青少年自然の家にて「サイエンスフェスティバル in ひだか」が行われ、9:00-12:00の間、苫小牧高専による「科学のとびら」を開催する予定でおります。

ホームページなどをチェックして、ラジオをお聞きの皆様も参加してみてはいかがでしょうか。

今日は、苫小牧高専(独立行政法人 国立高等専門学校機構 苫小牧工業高等専門学校)で行われている『自然と産業との共生』をテーマにした取り組みについてご紹介しました。

国立苫小牧工業高等専門学校 環境都市工学科 教授 澤田 知之 さんでした。ありがとうございました。

「MUSIC ON THE EARTH RADIO」
この時間は、“地球があるから音楽がある” をメインテーマに、この星の未来を豊かなものにするために、現在、国内・外で行われている取り組みを御紹介しています。来週も、お聞き逃しなく。

産業体験プログラム

平成21年度

平成18年度の現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)の採択を受け、昨年度より本校では『環境産業体験プログラム「自然と産業の共生を考える」』を実施しています。今年度は第4学年の学外実習として単位化も行われ、計30名の学生が受講しました。

実施にあたっては、本校教員2名の他、上述のウトナイ湖サンクチュアリ・ネイチャーセンター所属職員1名を外部協力講師として、8/29, 9.26, 11/3の3日間に分けてシリーズ化した授業として展開しました。


第1日目はウトナイ湖での『自然体験ウォークラリー』を通した自然体験とし、ウトナイ湖湖岸や周辺の自然地帯を散策しながら、外部講師が用意したクイズ形式による数箇所に設置されたウトナイ湖や周辺領域に関する各設問に取組むといったものです。






第2日目は勇払原野での『野外セミナー』として、技術者教育の観点から、ウトナイ周辺における自然の置かれている現状と、工場地帯周辺における環境への影響実態を直接的に体験することによって、ものづくり(製品製造等の生産活動)の際の環境配慮への意識を持たせることを主旨としたものです。

第3日目はネイチャーセンターでの『ワークショップ』として、それまで2回の実習を通して認識してきた苫小牧東部工業開発地域(苫東)が、まだ豊かな自然が残っているウトナイ湖や周辺の勇払原野に隣接している現状を踏まえ、勇払原野の自然環境保護と苫東の産業発展の共生をどのように考えるか、将来の技術者として今後の生産活動のあり方について構想を検討することを目的としたものです。

今後は、『成果発表会』が予定されていますが、環境保全と産業発展の両立を目指した技術者となるよう、受講学生の学習成果に期待したいところです。

平成20年度

平成20年度から「自然と産業の共生を考える」と題し,地元にある貴重な自然環境と,これに隣接する工業地帯を活用した産業体験プログラムを企画しました。地域への関心を高め,環境問題の現状と産業の発展の関係を学び,技術者として必要な知識を身につけることを目的に3回連続のシリーズとなっています。なお,実施あたってはウトナイ湖ネイチャーセンターにご協力いただいております。




<第1回>ウトナイ湖での自然体験

6月28日にシリーズの1回目となるウトナイ湖での自然体験を実施しました。

1回目ということもあり,参加した学生はやや緊張気味でありましたが,クイズ形式のウォークラリーということで,リラックスしてウトナイ湖の自然を感じることができたようです。また,ご案内いただいたウトナイ湖ネイチャーセンターの原田チーフレンジャーのわかりやすいお話もあって,ウトナイ湖の自然に対する理解・関心が深まったようです。参加した学生からは,「自分で体験して,考えながら歩けたのですごく楽しかった」,「鳥の声を聞き,植物を見ることで,動物と自然との繋がりについて,知ることができた」といった感想が聞かれました。




<第2回>勇払原野野外セミナー

9月25日にシリーズの2回目として勇払原野野外セミナーを実施しました。

今回は美々川源流をスタートし,ウトナイ湖鳥獣保護センター,弁天沼など10ヶ所を見学しました。1回目のウトナイ湖ウォークラリーと違い,工場やゴミ処理施設も見学先に含まれていましたので,自然と産業の共生について学生たちは様々な思いを持ったようです。また,最初に訪れた美々川源流は『川のはじまり』を見ることができ,強く印象に残ったようです。参加した学生からは,「自然に触れることができて,ゴミ問題とか工場開発の問題についても考えることができたので良かった」,「これから工業,産業に関わっていく人間として,自然と産業の共存について考えるというのが重要な課題であるということが良くわかりました。これから苫東がその新しいモデルとして発展していけば良いと思います」といった感想が聞かれました。

<第3回>(都合により掲載を省略)