2025年7月1日(火)、苫小牧工業高等専門学校は、伊藤組土建株式会社、株式会社伊藤組のご協力のもと、第3学年学生205名を対象に道内DX企業による実践授業を実施しました。本授業は、苫小牧高専の第3学年全学必修科目「AI・データサイエンスII」の一環として実施され、学生たちは道内の建設系企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の実装例、道内の山林事業、都市空間でのAI活用などを学ぶ貴重な機会となりました。
【伊藤組土建株式会社】 明治から令和へ──建設業の歴史とDXの現在地
授業では、まず、北海道開拓から地域を支えてきた伊藤組土建株式会社が登壇。建設業界の構造やゼネコンの役割、QCDSE(品質・コスト・納期・安全・環境)に基づく施工管理のリアルな業務フローなどについて学びました。一部の学生は、2月に実施した最上トンネル工事現場の見学経験を踏まえ、学びを深める機会となりました。
さらに、i-Construction2.0による現場のオートメーション化や、3Dモデルを用いた図面理解支援・遠隔臨場・点群データ解析、MR(複合現実)やAR(拡張現実)による仮想施工など、最先端の現場テクノロジーに学生たちは大きな関心を寄せました。無人化施工・AI画像認識・Copilotの活用といった省人化・省力化の未来像も、身近なリアリティとして学ぶ機会となりました。
【株式会社伊藤組】 森の産業が“未来の地球”を支える ・ AIと融合する都市環境
後半は、株式会社伊藤組による山林事業、ビル・不動産事業に焦点を当てた講義。高専の学生には馴染みの少ない山林事業が、単なる木材生産にとどまらず、地球温暖化対策・水源涵養・生物多様性保全といったサステナブルな未来づくりに直結する分野であることに、学生たちは大きな驚きを覚えました。道内各地に広がる自社所有の山林を循環的に活用するスマート林業、ドローン・ICTを用いたデータ収集と管理、そしてJ-クレジット制度への取り組みなど、次世代型林業の姿に触れる機会となりました。
都市開発・ビル事業においても、デジタル技術の力が活躍しています。札幌市内でのゼロカーボン推進ビル運営では、気象データとAIモデルを活用し、ロードヒーティングを最適に制御。エネルギーの無駄を省きながら、安全で持続可能な都市環境を構築する取り組みに学生たちは強い関心を示しました。
【学生たちの声】 デジタル技術・AIと現場の融合に驚き、未来を考えるきっかけに
実際に授業を受けた学生たちからは、以下のような声が寄せられました。
「完全に無人でトラックを動かせる時代が来ていることに衝撃を受けた。てっきり中に誰かは乗っていると思っていた」
「点群データやドローン測量の技術に強く惹かれた。建設業の効率化がすごい」
「遠隔操作やAIの活用が進めば、すべての作業が家から可能になる未来もありえる。その先にはAIがすべてを担う時代も来るのではと感じた」
「林業は森で木を切る仕事だと思っていたけれど、事務所でのデータ管理や地球環境を守る役割がある循環型産業だと知って驚いた」
「大人は想像以上に楽しそうに仕事をしている」
デジタル技術やAIの役割が建設・自然・都市といったあらゆる分野に浸透しつつある今、高専生にとって今回の授業は、“デジタル技術やAIを使って地域と未来をどう支えるか”を考える実践的な学びの場となりました。苫小牧高専では今後も、地域産業とリアルに結びついた実践的なAI・データサイエンス教育を通じて、技術だけでなく社会の未来を描けるエンジニアの育成を進めていきます。
<開催概要>
タイトル: 伊藤組土建株式会社・株式会社伊藤組による道内DX企業・実践授業
日 時: 2025年7月1日(火)13:00~14:30
場 所: 苫小牧工業高等専門学校 大講義室
協 力: 伊藤組土建株式会社、株式会社伊藤組、北海道デジタル人材育成推進協議会
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