北海道大学大学院地球環境科学研究院の小野田 晃 教授、北海道立総合研究機構の瀬野 修一郎 主査、苫小牧工業高等専門学校の甲野 裕之 教授、ラ・セレナ大学のマルティネス・ロニー 准教授からなる国際共同研究チームは、多糖キチン*1から得られるキトサン*2とムラサキイガイの接着タンパク質に由来するカテコール*3基を持つ3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(DB)*4を混ぜ合わせるだけで高性能なバイオ接着剤*5を得る新手法を開発しました。本法は添加剤を一切必要とせず、2時間の反応で高強度接着剤を調製でき、従来法と比較して資源循環型社会に適したプロセスです。
本研究成果は、2025年10月6日(月)公開のACS Omega 誌にオンライン掲載されました。
詳細は別添ファイルをご覧ください。
【用語解説】
*1 キチン … セルロースに次いで多く存在する天然多糖で、甲殻類の殻、昆虫の外骨格、キノコの細胞壁などに豊富に含まれる。N-アセチルグルコサミンが直鎖状に連なった構造を持ち、強度や耐久性に優れる。脱アセチル化によりキトサンとして多用途に活用できる。
*2 キトサン … カニやエビなど甲殻類の殻に含まれる多糖類キチンを脱アセチル化して得られる多糖類。分子内にアミノ基やヒドロキシ基を多数含むため、水素結合や静電相互作用を形成しやすい。生体適合性や抗菌性、生分解性を併せ持つことから、創傷被覆材やドラッグデリバリー材料、農業資材など幅広い分野で利用されている。
*3 カテコール … 芳香環に隣接した二つのヒドロキシ基を持つカテコール基を含む化合物の総称。水素結合、π–π相互作用など多様な相互作用を示す。
*4 3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド(DB) … 芳香環に二つのヒドロキシ基と一つのアルデヒド基を持つ化合物。ヒドロキシ基は表面との非共有結合的相互作用を促進し、アルデヒド基はキトサンのアミノ基と反応してシッフ塩基を形成するため、接着剤の合成に適している。
*5 バイオ接着剤 … 生物由来の原料や仕組みを利用して作られた接着剤。石油由来の合成接着剤に比べて生分解性に優れ、環境への負荷が小さい。さらに、生体親和性を持つため、創傷閉鎖材や組織接着剤などの医療用途や食品、木材建材など幅広い分野で応用が期待されている。
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2025.11.06
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