苫小牧工業高等専門学校では、令和7年度、「GX金融」分野をリードする企業各社のご協力のもと、国内および北海道における GX(グリーントランスフォーメーション)の最新動向を学ぶ特別講義を実施しました。学生たちは、日頃学んでいる技術革新(DX)と環境変革(GX)、そしてそれらを支える金融の役割を体系的かつ実践的に理解する貴重な機会となりました。
※DX(デジタルトランスフォーメーション)とは:
デジタル技術を活用して、社会・産業・業務プロセスを抜本的に変革する取り組みのこと。
※GX(グリーントランスフォーメーション)とは:
エネルギー転換や脱炭素化を通じて、持続可能な経済・産業構造へ移行する取り組みのこと。
■ 開催概要
タイトル: “実践GX金融” シリーズ講義
場 所:苫小牧工業高等専門学校 大講義室
講 義:
▶ 第2学年198名対象・全学必修科目「AI・データサイエンスI」にて実施
講義1 2025年10月7日(火) RAUL株式会社
GX入門
講義2 2025年11月18日(火)北海道電力株式会社
北海道電力のGXに向けた取り組み
講義3 2025年12月2日(火)石油資源開発株式会社
石油開発の技術紹介とCSSへの挑戦
▶ 第3学年205名対象・全学必修科目「AI・データサイエンスIII」にて実施
講義4 2025年12月23日(火)株式会社北海道銀行
GXと金融
講義5 2026年1月13日(火) 株式会社日本政策投資銀行
GXと金融
協 力: 苫小牧商工会議所、苫小牧高専協力会
■ 講義1 GX入門 ―― 協力: RAUL株式会社
2025年10月7日(火)、RAUL株式会社のご協力のもと、第2学年198名を対象に「GX入門授業」を実施しました。本授業は、全学必修科目「AI・データサイエンスI」に位置づけられた GX金融シリーズ講義の最初の講義として行われ、学生がDXとGXの関係を学ぶ導入的な機会となりました。
講義では、DXがデジタル技術による社会・業務変革を目指す取り組みであること、GXが脱炭素化によって持続可能な社会への転換を図る取り組みであることを説明しました。また、日本の政策動向や北海道・苫小牧で進む再生可能エネルギー活用、カーボンニュートラルの取り組みについて紹介し、GXが地域の未来にも関わる重要テーマであることを学びました。
後半では3つのディスカッションを行い、GXが必要な理由、GXに関連する職業、GXとDXを組み合わせた未来のサービスについて議論しました。学生からは、環境保全や国際競争力を踏まえた意見や、「再エネ設備設計」「CO₂可視化システム」など創造的なアイデアが多く出され、主体的な学びの時間となりました。
■ 講義2 北海道電力のGXに向けた取り組み ―― 協力: 北海道電力株式会社
2025年11月18日(火)、北海道電力株式会社のご協力により、第2学年198名を対象とした産学連携授業を実施しました。本授業は必修科目「AI・数理データサイエンスI」の一環として行われ、エネルギーの未来や脱炭素社会(カーボンニュートラル)について学ぶ貴重な機会となりました。
前半では、企業の発電・送電、ガス供給、省エネ提案など幅広い事業紹介に加え、GX(グリーントランスフォーメーション)が2050年のカーボンニュートラル実現に向けた重要な取り組みであることが説明されました。
後半では、再生可能エネルギーの活用、水素製造と地域での利用、CO₂貯留技術(CCS)、EV普及支援、省エネ診断など、エネルギーの「つくる側」と「使う側」の具体的なGX施策が紹介されました。
学生は、AIやデータの学びがエネルギー問題の解決に結びつくことを理解し、アンケートでは地域のエネルギー事情や企業のGX努力、将来のキャリアへの関心が高まったとの声が寄せられました。今回の授業は、技術者を目指す学生が社会とつながる大切な学びの場となりました。
■ 講義3 石油開発の技術紹介とCCSへの挑戦 ―― 協力: 石油資源開発株式会社
2025年12月2日(火)、石油資源開発株式会社 北海道事業所のご協力のもと、第2学年198名を対象にエネルギー分野の最前線を学ぶ産学連携授業を実施しました。本授業は、必修科目「AI・数理データサイエンスI」の一環として行われ、社会を支える技術と学生の学びを結びつける機会となりました。
授業の前半では、石油開発の探鉱・評価・開発・生産のプロセスが紹介されました。地質調査による地下構造の可視化、数千メートル級の掘削技術、地震波解析などの探鉱手法を学び、数億〜数十億円規模の大規模事業に学生たちは驚きを感じていました。また、貯留層評価や設備設計、操業最適化など、多様な専門分野の技術者が協働して資源開発を進めることも理解しました。
後半では、CO₂の回収・貯留・利活用を行うCCS/CCUSが取り上げられ、エネルギー開発と脱炭素の両立について学びました。学生からは探鉱の難しさや地震探査技術への驚きの声が寄せられ、エネルギー産業のダイナミックさと将来の進路を考える新たな視点が得られた授業となりました。
■講義4 GXと金融 ―― 協力: 株式会社北海道銀行
2025年12月23日(火)、苫小牧工業高等専門学校では、金融とGX(グリーン・トランスフォーメーション)をテーマにした産学連携授業を第3学年205名を対象に実施しました。本授業は必修科目「AI・数理データサイエンスIII」の一環として行われ、社会の仕組みと高専での学びを結び付ける実践的な教育の場となりました。
前半の金融分野では、お金の出し手と受け手をつなぐ金融の役割、家計・企業・政府を支える資金循環の仕組みを学びました。直接金融と間接金融の違い、負債と資本の意味、社債と株式の特徴など、経済の基盤となる考え方を体系的に理解しました。また、銀行の基本業務に加え、企業や地域を支援するコンサルティング機能が紹介され、人口減少や産業構造の変化といった北海道の課題を踏まえ、金融が地域成長を支える重要な存在であることを実感しました。
後半のGX分野では、サステナビリティを軸に、脱炭素社会の実現と経済成長の両立について学びました。GX戦略の背景や国内外の動向、企業やサプライチェーンに求められる脱炭素対応を知り、環境への取り組みが新たな産業創出や競争力向上につながることを理解しました。さらに、北海道が持つ再生可能エネルギーの優位性や「ゼロカーボン北海道」に向けた取り組みも紹介されました。
学生たちは、金融とGXが地域社会を支える基盤であることを学び、自身の専門分野とのつながりを考える貴重な学びの時間となりました。
■ 講義5 GXと金融 ―― 協力: 株式会社日本政策投資銀行
2026年1月13日(火)、苫小牧工業高等専門学校では、GX金融をテーマとした産学連携授業を、第3学年205名を対象に実施しました。本授業は必修科目「AI・数理データサイエンスIII」の一環として行われ、未来技術を社会に実装するために必要な視点を学ぶ実践的な教育の場となりました。
前半では、GXとは何か、なぜ今GXが社会全体で求められているのかについて学びました。地球温暖化の加速や異常気象の頻発、資源リスクの高まりといった背景を踏まえ、GXが単なる環境対策ではなく、社会構造そのものを変革する取り組みであることを理解しました。また、日本のGX政策や国家戦略として示されている「GX2040ビジョン」や第7次エネルギー基本計画(2025年閣議決定)にも触れ、革新技術の推進や電力システム改革が、将来の社会と産業を支える重要な柱であることを学びました。
後半では、GXを社会で実現する上で欠かせないGX金融の役割について理解を深めました。GXは「正しい」だけでは社会に広がらず、金融の仕組みがあって初めて未来技術が実装されること、すなわち技術の社会価値と経済価値を両立させる必要性が示されました。企業のGXへの取り組みは、コスト削減やブランド価値の向上、人材確保といったメリットをもたらす一方で、初期投資の負担や専門人材の不足、短期的利益との両立といった課題も抱えていることを学びました。
さらに、再生可能エネルギーの電気は多少高くなっても選ぶべきか、GX投資はリスクを伴ってでも将来世代のために行うべきか、環境に良いが赤字になるGX事業を続ける意味はあるのかといった問いを通じて、GXにおける公平性や時間軸の視点、支援の必要性について考えました。学生たちは、「社会価値」だけでは長続きせず、「経済価値」だけでは社会から支持されないという現実を理解し、両者をどう両立させるかがGXの本質であることを学びました。
本授業を通じて学生たちは、GXと金融が地域社会や産業、将来世代を支える基盤であることを実感し、自身の専門分野が社会変革にどのように関わり得るのかを考える貴重な学びの時間となりました。
■ 講義を終えて
本シリーズ講義を通じて学生たちは、GXとDX、そしてそれらを支える金融の役割を体系的に学び、技術と社会がどのように結びついて未来を形づくっていくのかを多角的に理解しました。企業の皆さまによる実践的な講義は、教室での学びを現実の産業や地域課題と接続する貴重な機会となり、学生一人ひとりが自身の専門分野とGXの可能性を結びつけて考えるきっかけを与えてくださいました。今回得られた知識と視点は、持続可能な社会の実現に向けて行動するための大きな力となるはずです。本校は今後も、地域ならびに産業界とともに次世代の技術者育成に取り組んでまいります。
最後に、本講義の実現にあたり多大なご協力を賜りました各企業の皆様、苫小牧商工会議所、苫小牧高等専門学校協力会ならびに関係するすべての皆様に、心より御礼申し上げます。
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