苫小牧工業高等専門学校の創造工学科機械系で開発した船舶搭載型の小型自動観測ロボットカメラ「GPSIceCam」が、2026年夏、スウェーデンの砕氷船「Oden(オーデン)」に搭載され、北極海での海氷観測に成功しました。Odenは今回の航海で北極点に到達しており、GPSIceCamも北極点付近を含む北極海の広い範囲で観測を行いました。本観測は、スウェーデン極地研究事務局(Swedish Polar Research Secretariat)の運用面での支援を受け、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)と共同で実施したものです。
GPSIceCamは、2025年度の創造工学科機械系の卒業研究で開発された小型・低コストのロボットカメラです。GPSを搭載し、船舶の航行中は約1 kmごと、停泊中は1時間ごとに海氷の写真を自動撮影し、撮影時刻と位置情報を記録します。吸盤マウントを用いて砕氷船内の窓に取り付け、電源を接続するだけで自動的に観測を行うことができ、乗組員や観測隊員にほとんど負担をかけずに海氷の観測データを取得できます。
開発を担当した学生は高専ロボコンにも参加しており、そこで培ったものづくりの技術を活かして製作しました。カメラ本体の製作には、苫小牧高専の創造工学工房に設置された3Dプリンターや基板加工機などを活用しています。2026年2~3月には、オホーツク海で網走流氷観光砕氷船「おーろら」による海氷の試験観測を実施し、北極海での本格的な観測に向けた準備を進めてきました。
今回、砕氷船Odenから回収されたカメラのデータを確認したところ、GPSIceCamは8月中旬から1か月以上にわたって安定して動作し、約8,000 kmに及ぶ航程で、約9,100枚の海氷画像とそれに対応する位置情報を取得していたことが分かりました。北極点付近でも正常に撮影・記録が行われており、北極海での長期間にわたる自動観測に成功しました。また、2026年夏から秋にかけて、韓国の砕氷研究船「ARAON(アラオン)」およびカナダ沿岸警備隊の砕氷船「Louis S. St-Laurent(ルイ・サンローラン)」にもGPSIceCamを搭載し、同様の観測を実施しています。2027年夏には、日本初の砕氷能力を有する研究船である北極域研究船「みらいII」でも、GPSIceCamによる北極海の海氷観測を計画しています。
今後は、取得した海氷画像をAI(人工知能)で解析し、海氷密接度(海面に占める海氷の割合)に加え、人工衛星観測だけでは把握が難しい海氷の種類や氷盤の大きさなどを自動判別する技術の開発を進めます。将来的には、多数の砕氷船にGPSIceCamを搭載することで、北極海や南極海における広域的な海氷観測網の構築を目指しています。
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